②特別講演

 

 

今回のプログラムの始まりに特別講演として

東北大学大学院 環境科学研究科 環境科学専攻

都市環境・環境地理学講座(人間環境地理学分野)

前期博士課程 1年 甲斐智大さんよりお話を頂きました。

 

甲斐さんは、金沢大学地域創造学類福祉マネジメントコース出身であり、保育士養成課程出身では全然ないのだそうです。また、年齢は私たちとほとんど変わらないそうです…!

 

専門分野は人文地理学における、労働の地理学であり、

現在は日本国内における保育労働市場の構造について研究をしているそうで、その中でも特に地方の保育労働市場の構造と都市部の保育労働市場の構造との間に、どのような因果関係があるのかに着目しているそうです。

 

 

 

今回は、

  保育労働の実態

  保育労働の地域的差異

  保育労働市場の構造の地域的差異

  保育労働者の移動の実態 移動の実態/地方への影響/都市部への影響

についてお話を聞きました。

 

 

 

 

 

①保育労働の実態

  保育者の賃金水準は、他の職種と比較しても低く、勤続年数も低くなっており、保育労働者の約60%が退職したいと思っている。また、多くの保育者が利用者との関係、人間関係、残業の多さなどからストレスを抱えていることが明らかになっている。

→つまり、一般の報道を見ると、保育士の待遇は劣悪であり、問題を抱えている職業であるとされている。※ただし、このアンケートでは保育者の待遇の悪さを過剰にあおっている可能性もある。

  保育施設側から見た採用状況を見ると、調査では大部分の施設が保育士の採用に困難を抱えていると回答している。特に都市部では、採用に困難を抱えている施設の割合がさらに高いとも予測される。

→つまり、こうした保育士不足の状況の中で、学生にとっては、非常に採用されやすくなっている。実際に、各養成校の就職状況を見ると、90%以上の学生が保育者としての就職をすることができている。

  保育士不足に悩む、保育施設は人員確保のために、勤務時間や雇用形態の調整を積極的に行っている。つまり、他の業界と比較しても、恵まれている状況であるとも言える。また、給与水準に関しても、非常に低い水準であることに変わりはなく、賃上げには結びついてはいないものの、各経営者も、賃金水準をあげる意思はあることがわかる。

  さらに、国としても、保育士の処遇を改善する必要性をうたっている。今後こうした処遇は徐々に改善される可能性をもっていると考えることもできる。

  多くの保育士が保育士としての仕事のやりがいがある!と述べている。

 

 

 

 

 

②保育労働の地域的差異

  保育需要を決定する待機児童の発生状況をみると、首都圏では、極端に待機児童数が多くなっている。つまり、首都圏では保育サービスの需要と供給のバランスがとれていないことがわかり、首都圏では、保育サービス供給が需要に追いついていないということが分かる。その一方で、待機児童がほぼ発生していない地域も存在する。つまり、保育サービス需要には、地域差があるといえる。

  保育士の平均賃金(年収)は、首都圏の保育士が他の地域と比較して非常に高くなっているのに対し、東北地方をはじめとする、大部分の地方では、賃金水準が全国と比べて低くなっている。相対賃金(地域内の全職種の平均賃金に対する保育士の平均賃金)は、地方では、比較的に高くなっている。これらから、東北地方では、実質賃金は低いが、相対賃金が高くなっており、一方で関東地方、特に首都圏では、賃金水準は比較的高いが、相対賃金は低い。

  こうした状況のなかで、保育士に対する有効求人倍率(有効求職者に対する有効求人数で求められる。1であると仕事の数と希望する労働者が一致していること)を地域ごとにみると、東京では非常に高く、東北では低くなっている。首都圏だと、より、求人倍率が高く、より労働者が仕事を選択しやすくなっている。そうした東北地方でも秋田県以外では、求人倍率は、1以上であり、仕事を選ばなければ、保育職につける状態にあると考えられる。

  東北地方をはじめとする、地方では、新卒者の正規率が低い一方、首都圏では、新卒者の正規率が高くなっている。先ほどは、求人を選ばなければ、東北地方では就職できるとあったが、東北地方では正規として勤務するのは難しいといえる。つまり、東北で、正規採用を目指すためには、非常に高い努力が必要であり、正規で、勤務先を選択することは難しくなっている。

 

 

 

 

 

③保育労働市場の構造の地域的差異

  学部時代は石川県で学んでいたため、卒業論文は石川県内のなかで、都市的な地域である加賀地域と、非都市的地域である、能登地域を事例に、保育労働市場の構造を分析した。

  石川県の保育者にアンケート調査を行い、その結果から保育者のライフコースを4つに分類した。①卒業後、非正規で採用された、30歳以下の者〈非正規若年型〉②卒業後、正規で採用され、現在30歳以下のもの〈正規若年型〉③卒業後正規で採用され、現在も正規職員として勤務を継続している者〈正規継続型〉④家庭制約の影響などをうけ、勤務形態を変更したり、休職、退職期間がある者で30歳以上の者〈やりくり型〉

  東北の地方も類似した傾向であると考えられる、能登地域では、家庭制約が少なく正規継続が多いため、新卒者が参入しにくく、非正規若年型も多い。

  一方首都圏に近い加賀地域では、家庭制約などの影響があると考えられ、保育士不足の影響などを受けやすく、就労やりくり型がめだつ。そのため、新卒者は参入しやすく、その割合は高くなっていた。つまり、能登では非正規若年と経験の豊かなベテラン性記者が保育を供給している一方、加賀では、家庭制約などの影響を受け、若年正規者と非正規ベテランの割合が多くなっている。

 

 

 

 

 

④保育労働者の移動の実態

  地方からの労働者が首都圏へ就職することでどのような影響が首都圏にもたらされているかを考察する。首都圏の中でも特に東京の保育需給の状況を見ると、就学前人口23区の周辺で多くなっていることがわかる。また、八王子などの郊外型住宅地に多い。待機児童率をみると、23区周辺の住宅地、特に就学前人口が多い地域で高い。

  サービスを供給する保育所の経営主体をみると、都心中心部では、株式会社が高い割合となっている。社会福祉法人の進出が少ない23区外では、公立保育所の割合が高い。市部は、社会福祉法人の割合が高い。

  都心中心の保育は株式が担っており、地方から都市部へ就職する者の、70%が株式へ就職している(2013)。

  都内の待機児童数の増減の状況を見ると都心中心では、待機児童が減少傾向にある。なお、都心中心付近は、近年、若者の都心回帰が起こっており就学前人口は増加傾向にある。つまり都心中心部の待機児童を減少させるのに、地方からの労働力が使われているといえるのではないか。

 

 

 

 

 

⑤まとめ

  保育者の待遇は一律に悪いとされているが、保育者を取り巻く実態を見ると地域差があり、保育労働市場の構造にも地域差がある。そのため、見方を変えると、やりがいという面もある仕事である。

 

 

とのことでした。

まとめるのが本当に下手でスミマセン!!!!

 

 

 

福祉大の保育士課程のほとんどの人が東北出身です。

私も東北出身で、しかも東北での就職を希望しているので、

とても現実を思い知らされた講演でした…。

 

しかし!!現実を知ったからこそ、

頑張らなければ!!という意欲にも繋がりました!

 

 

 

セミナーはまだまだ続きますが、記事はひとまずここで区切ります!

以上!詠美でした!ヾ(・д・。)バイバイ